はじめに
深夜、暗号資産のチャートを眺めていた時期があった。 買ってはいない。ただ、上下する数字を見ていた。 乗り遅れているのではないか——その焦りの正体を、確かめたかったのだ。
全世界株式は、すでに世界を持っている
オルカンのような全世界株式インデックスは、先進国も新興国もまとめて抱える。 そこには、暗号資産を扱う企業も含まれている。 中身は固定ではない。伸びた国や産業の比率が、自動で上がっていく仕組みだ。 「世界に分散したい」という目的なら、答えはもう手元にあるのかもしれない。
値上がりの理由を、説明できるか
株式のリターンの源泉は、企業が稼ぐ利益だ。 利益が再投資され、価値が少しずつ積み上がっていく。 暗号資産には、その流れがない。 価格が上がる理由は、次に買う誰かがいることに寄っている。 それを投資ではないとは言わない。ただ、同じ物差しでは測れないのだ。 危機のときには株と一緒に下がる場面も多かった。分散の役に立つとは限らない。
私は、値動きに耐えられなかった
若い頃、株式投資で損失を出して一度退場した。 その後、コロナショックのときにはJ-REITへ集中していて、大きな含み損を抱えた。 数字が削られていく感覚は、理屈では消えなかった。 そこで学んだのは、リスク許容度は気持ちではなく経験でしか測れないということだった。 以来、軸を全世界株式インデックスに移した。下落局面でも積立は止めていない。
「必要」と「持ってもいい」は違う
資産の数%を暗号資産に置いても、暮らしは変わらないだろう。 けれど、それは「必要」とは違う。
・なくても目標に届くか
・半分になっても積立を続けられるか
・下がったとき、誰かのせいにしないか
この三つに答えられないなら、たぶん要らないのだ。 買った日から毎日チャートを見にいくようになるなら、払うコストは金額だけではない。
経済的自由は、当てることではない
経済的自由とは、増やし方の派手さではなく、選択肢を持つことではないだろうか。 相場が急落しても、暮らし方を変えなくていい。 待てる。動かなくていい。 その静けさは、当たりくじではなく、退屈な積立が運んできた。
まとめ
必要かどうかは、他人の成績表では決まらない。 今日ひとつだけ、自分の資産を見て「これが半分になっても眠れるか」を考えてみてほしい。 答えが出たなら、それがもう答えなのだ。

