はじめに
口座を開いて、保有はほぼ全世界株式だけ——それでいいと思っていた。
世界中の企業を少しずつ持っている。 これ以上の分散はないはずだった。
それなのに、ふとした時に落ち着かない。 家賃も食費も、円で出ていくからだ。
分散しているのに、足りない気がした
私が積み立てているのは全世界株式のインデックス一本。 資産配分は株式と安全資産の二層で組んでいる。
安全資産のほうは、生活防衛資金の1年分と同じ器だ。 最近、その全額を個人向け国債(変動10年)へ移した。
動機は物価上昇だった。 額面が減らなくても、同じ金額で買えるものは減っていく。
ただし変動10年は金利連動であって、インフレ連動ではない。 最低金利年0.05%は保証されるし、半年ごとの見直しで金利上昇には追いつきやすい。 それでも物価に勝てるとは限らない——そこは割り切っている。
買うときの世界と、使うときの通貨
全世界株式は、世界の成長を薄く広く受け取るための器だ。 けれど受け取ったものを使う場所は、いまのところ日本しかない。
世界に分散していても、暮らしは円で回っている。
ここで効いてくるのが、円建ての資産をどれだけ持っているかだった。 株が下がった年に生活費を株から出さずに済むかどうか。 それを決めるのは、リターンではなく置き場所のほうだ。
国内資産は「勝つため」ではなかった
国内資産を持つ理由を、私はずっとリターンで考えていた。 日本株が伸びるかどうか、という軸で見ていたのだ。
でも安全資産に求めているのは、増えることではない。 下がった局面で、暮らしを止めないこと。 それだけだ。
だから私は、株式の下落で安全資産を取り崩して買い向かうことはしない。 そこは生活を支える原資でもあるから、減らせない。 比率のずれは、年1回の点検と新しい入金の配分で近づけていく。
器の性質まで見ておく
円建てにすれば安心、というわけでもない。
個人向け国債は発行から1年は中途換金ができない。 換金するときは、直前2回分の各利子(税引前)のおよそ8割が差し引かれる。
備えなのに、すぐには動かせない。 この弱点は、自分で名指ししておいたほうがいい。
- 世界に分散するのは、増やすため
- 円で持つのは、使うため
- すぐ動かせるかは、器ごとに違う
まとめ
経済的自由とは、資産額が一定に届くことだと思っていた。 でも実際に効いていたのは、下がった年でも売らずに済む選択肢を持っていることだった。
全世界株式は世界を買う手段で、円建ての備えは暮らしを止めない手段。 役割が違うのだから、どちらかで代用はできない。
今日ひとつだけ——自分の資産のうち、いま円で持っている分がどれくらいか数えてみてほしい。 その数字を見てから、比率の話を始めればいいのではないだろうか。

