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共働き夫婦が陥る「二人分の楽観」|片方が働けなくなる前提の設計

経済的自由

はじめに

家計簿アプリを開くと、収入の欄に線が二本並んでいる。 片方が減っても、もう片方がある。 そう思って、この暮らしの形を決めてきた。 けれどその前提は、一度も言葉にされていなかった。

二本あるから、重くできてしまう

共働きの家計は、二本の収入を土台に組み上がる。 住まい、教育費、毎月の積立。 私にも住宅ローンがあり、返済額も積立額も、二本あることを前提に決めていた。

二人分の収入は、二人分の安心ではない。 二人でなければ支えられない形を、無理なく選べてしまうだけなのだ。

止まっても、支出は半分にならない

片方が働けなくなっても、家賃も教育費もそのまま残る。 むしろ医療費が増え、家事を外に頼む日も出てくる。 収入だけが減って、暮らしの重さは残るのだ。

残ったほうの人も、看病や手続きで時間を削られる。 二人で走る前提の設計は、片方がつまずいた瞬間に軋む。

働けなくなったときのお金は、自動では出ない

制度はある。ただ、思っているより条件が細かい。

・障害年金は「働けなくなれば出る」ものではない。初診日要件と保険料納付要件を満たし、障害認定日を経て等級の認定を受けて初めて支払われる。不支給もある

・認定の多くは有期で、更新のたびに等級が見直される。減額や支給停止もありうる

・障害厚生年金は、初診日に厚生年金の被保険者であることが絶対要件。独立したあとに初診日があれば、過去に何年加入していても障害厚生年金はゼロで、障害基礎年金(1級・2級のみ)だけになる

障害基礎年金2級は令和8年度で年847,300円。 子がいれば1人目・2人目は各243,800円の加算がつく。 空ではない。けれど、二本目の収入の代わりにはならない。

空白の一年半を、誰が埋めるか

障害認定日は、初診日から1年6か月を経過した日(それ以前に症状が固定した日)。 認定されるとしても、それまでは障害年金が出ない期間がある。

ここを埋めるのが健康保険の傷病手当金だ。 標準報酬日額のおよそ3分の2が、支給開始日から通算1年6か月。 ただし国民健康保険では任意給付で、ほぼ実施されていない。 働き方によっては、この空白がそのまま家計に残る。

片方で回る形へ、少しだけ寄せる

全部を一本分に縮めるのは難しい。 それでも、寄せる方向はある。

・固定費を「一本分の収入でも息ができる額」に近づける

・現金の備えを月数で持つ。私は生活防衛資金を1年分、個人向け国債(変動10年)に置いている。額面は守られ、金利が上がれば利率も追うが、物価に勝てるとは限らない

・保険は金額の根拠を持つ。公的な給付でどこまで届き、足りない分はいくらなのか

私は長いあいだ、保障額の根拠を持っていなかった。 誰のために遺すのかは分かっていた。 分かっていなかったのは、いくら必要かのほうだった。

走り続けなくてもいい形をつくる

経済的自由とは、働かなくていいことではないのかもしれない。 片方が止まっても、暮らしが続くこと。 治療や休養を、家計の都合ではなく体の都合で選べること。 それが、選択肢を持つということではないだろうか。

まとめ

今日ひとつだけ、家計の固定費の欄を開いてみてほしい。 その金額は、二本の収入のどちらが欠けても払えるだろうか。 答えが「無理だ」でもいい。 前提を言葉にしたところから、設計は変えられる。

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