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金利のある世界で、変動金利の住宅ローンをどこまで見直すか

経済的自由

はじめに

「金利、上がるらしいね」——そんな会話を、当たり前のように聞くようになった。

長いあいだ、金利はないものだった。変動を選ぶことは、多くの人にとって考えなくていい選択だったはずだ。

けれど、預金にわずかな利息がつき始めた。借りる側の数字も、動き始めている。

変わるのは金利か、返済額か

変動金利の住宅ローンは、多くの場合、半年ごとに適用金利が見直される。

ただし返済額がその場で変わるとは限らない。返済額の見直しは5年ごと、上がっても直前の返済額の1.25倍まで——元利均等返済につくこの特約が、金利の動きを返済額から切り離すからだ。元金均等返済には、そもそもこの仕組みがない。

この特約があると、毎月の負担はしばらく動かない。動かない代わりに、返済額に占める利息の割合が増える。

痛みは消えるのではなく、後ろへ回るだけかもしれない。金利の上がり方が大きいと、返済額が利息分にすら届かず、足りない分は未払利息として残高に乗る。上限があるから安心、とは限らない。

しかもこの特約は、すべての金融機関が採用しているわけではない。自分の契約がどうかは、借りた本人にしか確かめられないのだ。

見直す前に、確かめること

借り換えの試算はすぐできる。比べるのは金利差だけではない。事務手数料や保証料、抵当権を抹消して付け直す登記費用、印紙税、いまのローンの全額繰上返済手数料——そこまで含めた総額で見ないと、判断はぶれる。

それに、団体信用生命保険へ入り直す審査がある。健康状態によっては、借り換えそのものができないこともある。

けれど、その前に手元で確かめられることがある。

・今の契約に、返済額を据え置く特約があるか ・残りの返済期間と、いまの残高 ・金利が1%上がったら、利息の額と残高の減り方がどう変わるか

繰り上げ返済にも、見落としがある。住宅ローン控除は償還期間10年以上が要件だ。繰り上げた結果、最初の返済月から短くなった最終返済月までが10年を切ると、その年から控除を受けられない。

借り換えでも同じことが起きる。新しいローンが今のローンを返すためのものであること、そのうえで償還期間が10年以上あること——どちらか欠ければ、そこで控除は途切れる。年末残高の0.7%を自分で捨てていないか、先に確かめたい。

面倒な作業だ。だから後回しになる——そういう人は少なくないのではないだろうか。

金利が上がって困るのは、返済額そのものより、確かめていなかったという事実のほうかもしれない。

私が動かしたのは、貯める側だった

私にも住宅ローンがある。それでも最近動かしたのは、借りる側ではなく貯める側だった。

生活防衛資金の1年分を、個人向け国債(変動10年)へ移したのだ。

きっかけは物価だった。額面が減らなくても、同じ金額で買えるものは減っていく。その事実が、預金に置いたままの備えを落ち着かなくさせたのだ。

変動10年は半年ごとに金利が見直される。金利が上がる局面で置いていかれにくい。

ただしインフレ連動ではない。物価に勝てるとは限らない。

そして、住宅ローンの変動金利の多くが短期の金利に連動するのに対し、変動10年が追うのは長期の金利のほうだ。同じ「変動」でも基準が違うので、そろって動くとは限らない。

置き場所を変えただけで、勝てるようになったわけではない。分かったのは、自分が何を守りたかったかのほうだった。

選択肢を持つということ

借りる側も、貯める側も、問われていることは同じだと思う。金利が動く前提で、自分の契約を把握しているか。

経済的自由とは、繰り上げ返済を終わらせることではないのかもしれない。金利が上がったとき、繰り上げるか、借り換えるか、そのまま払い続けるか——その三つを並べて選べる状態のことだ。

選択肢は、数字を知っている人にしか見えない。知らないままだと、金利のほうが勝手に選んでしまう。

まとめ

今日ひとつだけ、契約書か返済予定表を開いてみてほしい。返済額を据え置く特約があるかどうか、それだけでいい。

答えが出なくてもかまわない。確かめた、という事実が、次に迷ったときの判断を軽くしてくれる。

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