はじめに
「あと三年で使うお金なんだけど、投資に回していいと思う?」
そう聞かれて、すぐには答えられなかった。
増える可能性はある。減る可能性もある。 どちらも本当だ。
違いを分けていたのは、金額ではなかった。 使う日を、自分で選べるかどうかだった。
使う日が決まっているお金は、待てない
株式は長い時間をかければ上を向きやすい。 それでも、下がった年に使う日が来ることはある。
私は市場が急落しても積立を止めない。 売らずに、ただ続ける。
けれどそれができるのは、そのお金を使う日を決めていないからだ。 回復まで待てるという前提が、私の姿勢を支えている。
教育資金には、その前提がない。 進学の時期は市場の都合に合わせてくれないのだ。
私が学んだのは、金額ではなく時間だった
若い頃、株式投資で損失を出して一度退場した。 その後のコロナショックでは、J-REITに集中していて大きな含み損を抱えた。
あのとき私を助けたのは、腕でも勘でもない。 そのお金に期限がなかった、という一点だけだった。
今は全世界株式のインデックスを軸に、分散へ移した。 生活防衛資金は一年分。
当時は普通預金に置いていたが、最近は個人向け国債(変動10年)へ移している。 額面が減らなくても、同じ金額で買えるものは減っていく——それが気になったからだ。
時間で分けると、迷いが減る
置き場所は、性格ではなく期限で決まるのかもしれない。
・五年以内に使う分は、値動きのない場所に
・十年以上先の分は、積立に回す
・その中間は、割合をあらかじめ決めておく
個人向け国債(変動10年)は最低金利年0.05%が保証され、半年ごとに金利が見直される。 金利上昇局面で置いていかれにくい一方、物価に勝てるとは限らない。 中途換金は発行から一年経過後で、直前二回分の利子相当額が差し引かれる。
普通預金や定期預金を選ぶ人もいる。 どれが正しいかではなく、いつ使うかで決まる話ではないだろうか。
増やさない場所が、選択肢をつくる
経済的自由とは、増やし続けることだと思っていた時期がある。
でも違った。 必要な日に、必要なお金がそこにある。 それだけで、進路も働き方も選択肢を持てる。
増やさないと決めた場所が、いちばん自由を守っていたのだ。
まとめ
今日ひとつだけ、そのお金を使う年を紙に書き出してみてほしい。
年が近ければ、置き場所を変える。 遠ければ、市場に預けたままでいい。
答えは相場ではなく、カレンダーの側にある。

