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FIRE前に住宅ローンを組むべきか|無職になると審査は通らないという現実

経済的自由

はじめに

資産の推移表を眺めていた夜。 数字は、思い描いた線に近づいていた。 それなのに、ふと手が止まった。

——この状態で、住宅ローンは組めるのだろうか。

貯まっているのに、借りられない。 その矛盾に気づいたとき、少しだけ背筋が冷えた。

審査が見ているのは、資産ではなく継続性

住宅ローンの審査で主役になるのは、口座の残高ではない。 毎月いくら入ってくるか。 それが何年続く見込みか。 見られているのは、そこだ。

勤続年数、完済時の年齢、団体信用生命保険に入れる健康状態。 どれも「これから先も返せるか」を測るための材料でしかない。

だから資産が十分でも、定期的な収入の裏づけがなければ話が進まないことがある。 働いていないという一点で、積み上げた数字が急に軽くなる。 理不尽に見えて、貸す側から見れば当然なのだ。

「先に借りておく」にも代償がある

ならばFIRE前に組めばいい——そう考えるのは自然だ。 審査という一点だけを見れば、それは合理的かもしれない。 けれど、返済は辞めたあとも続いていく。

・毎月の返済額が、生活費の下限を固定する

・売りにくい資産に、まとまった額が固定される

・繰上返済を急いで、運用に回す分を削る

自由になるために借りたはずが、選択肢を狭めることもある。 借りられる状態と、返し続けられる状態は、別の話なのだ。

順番を間違えると、あとが効かない

若い頃、私は株式投資で損を出して一度退場した。 その後も一つの資産に寄せてしまい、大きな含み損を抱えた時期がある。 どちらも、判断を急いだ結果だった。

いまは生活防衛資金の一年分を、個人向け国債(変動10年)に置いている。 以前は普通預金だった。 移したのは最近で、理由は物価だ。 額面が減らなくても、同じ金額で買えるものは減っていく。

守りの形を決めてから、攻めの比率を考える。 順番さえ崩さなければ、市場が下げても手を動かさずに済む。 下げた月も、積立は止めない。

住まいも同じではないだろうか。 先に器を決めるのか、暮らしの形が決まってから器を選ぶのか。

経済的自由とは、選択肢を持ち続けること

借りられるうちに借りる。 それは、たしかに一つの正解だ。

ただ、借りられないという事実は、必ずしも失敗ではない。 賃貸のまま身軽でいる。 時期をずらす。 住む場所そのものを軽くする——道は一本ではない。

経済的自由は、支出を削ることでも、資産を増やすことでもないのかもしれない。 選択肢を持ち続けること。 そう置き換えた瞬間、家という重い決断が、少しだけ違って見えた。

まとめ

今日ひとつだけ、書き出してみてほしい。 自分が家に求めているのは「安心」なのか、「所有」なのか。

一行で足りる。 答えが見えた頃には、審査に通るかどうかより大事なものが、静かに浮かび上がっているかもしれない。

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