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資産が増えた人ほど狙われる|投資詐欺の手口と、断り方の準備

経済的自由

はじめに

「あなただけに、いい話がありまして」——。

電話口の声は、驚くほど丁寧だった。 断るまでに、少し時間がかかった。 信じたからではない。 邪険にする理由が、その場で見つからなかったからだ。

資産が増えるほど、こういう声は増えていく。

増えた人ほど、声をかけられる

狙われるのは、無知な人ではない。 むしろ、真面目にお金と向き合ってきた人だ。

貯めた実績がある。 話を最後まで聞く礼儀もある。 その二つが揃うと、標的として理想的なのだろう。

若い頃、私は投資で大きな損失を出して一度退場した。 そのときも、判断を急がされていた。 損したのは知識不足だけが理由ではなかったのだ。

手口は、いつも同じ形をしている

名前や商品は変わっても、骨組みは似ている。

・今だけ、あなただけ、という特別扱い

・「元本保証」「必ず増える」という言い切り

・返事を急がせる期限の設定

この三つが揃った時点で、中身を検討する必要はもうない。 検討させること自体が、相手の狙いだからだ。

不安と優越感を同時に刺激される。 乗り遅れるかもしれない、選ばれたのかもしれない——。 その揺れが、判断を鈍らせる。

断り方は、その場で考えない

一番効くのは、事前に言葉を決めておくことだった。

「知らない商品は買わないと決めています」 これだけでいい。 理由を説明しない。議論もしない。

相手は説得のプロだ。 土俵に上がった時点で不利になる。 だから、土俵に上がらない。

私は暴落のときも同じことをしている。 市場が急に下げても売らない。 決めたとおりに積み立てを続けるだけだ。

事前に決めておけば、その場の感情で動かずに済む。 詐欺への備えも、暴落への備えも、構造は同じなのだ。

断れることが、経済的自由の中身

まとまった資産があると、選択肢が増える。 だが本当に効くのは、増える選択肢ではないかもしれない。

「その話には乗らない」と選べること。 急がなくていい、と思えること。

生活防衛資金を1年分持っていると、焦りが薄くなる。 今すぐ増やさなくていい人は、うまい話を必要としない。

経済的自由とは、何でも買える状態ではなく、断る選択肢を持てる状態ではないだろうか。

まとめ

今日ひとつだけ、断り文句を決めてみてほしい。

短くていい。 声に出して、一度言ってみる。

用意した言葉は、あなたの資産より静かに、あなたを守ってくれるかもしれない。

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