はじめに
画面のなかで、比率が少しずつずれていく。 上がった月は気分がいい。 下がった月は、見るのをやめたくなる。
——そのどちらのときも、同じ問いに突き当たった。 今、動くべきなのか。 それとも、何もしないべきなのか。
迷いは、決めていないから生まれる
リバランスでやっかいなのは、作業そのものではない。 「いつやるか」を先に決めていないことだ。
決めていないと、判断のたびに相場を見る。 相場を見ると、気持ちが理由になる。 上がれば「まだ伸びそう」、下がれば「今は動きたくない」。
それはもう、配分の管理ではないのだ。
時間で決めるか、ずれ幅で決めるか
よく見かける決め方は、大きく三つだと思う。
・年に一度、決めた月に点検する
・目標比率から一定幅ずれたら動く
・その両方を組み合わせる
どれが正解かというより、自分が守れるかで選ぶほうがいいのかもしれない。 幅を狭くすれば、動く回数はそのぶん増える。 広くすれば、ずれたまま過ごす時間が長くなる。 どちらが有利かを言い切れる数字を、私は持っていない。 だから効いてくるのは、幅そのものより、決めてあるかどうかのほうだ。
私が決めていること
持っているのは、株式と安全資産。 点検するのは年に一度、年の終わりと決めている。 目標の比率から5%以上ずれていれば、売買して戻す。 7%以上ずれたときは、年の途中でも動かす。
ただし定期でも臨時でも、売り買いするのは上へずれたときだけだ。 株が増えすぎたら減らす。減りすぎたときは、戻さない。 私の場合、安全資産は下げの局面でこそ暮らしを支える側で、取り崩して買い向かえばその役目がなくなる。 下へずれたぶんは、新しく入れるお金の配分と、市場の回復に任せる。 5%に届かない年も、同じように配分で近づけるだけだ。
臨時のほうは、まだ一度も発動していない。 それでも決めてあるのは、そのときに相場を読まずに済むからだ。 数字自体に根拠はない。私が引いた線というだけだ。
決めていなかった頃の話
コロナショックの頃、私はJ-REITに偏っていて、大きな含み損を抱えた。
偏っていること自体は、分かっていた。 分かっていなかったのは、その偏りが自分にどれだけ効くかだ。 どこまでなら耐えられるのか、その線を先に引いていなかった。
売る前に、枠とコストを思い出す
NISA口座で売って買い直す場合、空いた非課税枠は買ったときの値段の分だけ翌年以降に戻る。 買い直しには、その年の年間投資枠を使う。 その年の枠が残っていなければ、買い直せるのは翌年以降だ。 課税口座なら、売却益に税がかかる。
「元に戻す」という行為にも、値札がついている。 それでも上へずれたときは、払って戻す。
決めておくことは、選択肢を持つこと
ルールを先に置くのは、相場に判断を預けないためだった。
経済的自由とは、数字を増やし続けることだけではないのかもしれない。 不安な日に、気分で動かずにいられること。 それも選択肢を持つということではないだろうか。
まとめ
今日ひとつだけ、決めてみてほしい。 「いつ点検するか」と「何%ずれたら動くか」。
紙に一行、書くだけでいい。 迷いは、その一行の分だけ減る。

