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株価が上がり続けたあとに考えておきたい「期待しすぎない」資産形成

経済的自由

はじめに

口座の画面をひらくたび、数字が少し増えている。 増えた分を、自分の実力のように感じかけていた。

上がり続ける相場は、そういう錯覚を静かに育てる。 ——けれど、その数字はまだ確定していない。

増えた数字は、まだ手元のお金ではない

含み益は、売って初めて現実になる。 課税口座で売れば、譲渡益には20%がかかる。内訳は所得税15%と住民税5%だ。 さらに令和29年分までは、基準所得税額の2.1%の復興特別所得税が所得税に上乗せされる。

表示されている残高は、税引き前の姿だ。 この差を知っていても、上昇が続くと頭から抜けていく。

非課税の制度にも、裏側がある

NISA口座で出た利益に税はかからない。 ただ、売って損が出たときは「ないもの」とみなされる。 課税口座の配当や譲渡益との損益通算はできず、繰越控除にも使えない。

課税口座なら、控除しきれなかった譲渡損失は翌年以後3年間繰り越せる。 ただし、譲渡がなかった年も繰り越すための申告が要る。

有利な面ばかりが語られる制度ほど、この裏側は意識されにくいのではないだろうか。

期待を下げるのは、負けることではない

金融庁は、金融商品には安全性・収益性・流動性の3つの性質があり、3つとも◎のものはないと説明している。 預貯金より高いリターンを期待できる一方で、元本割れのおそれもある、とも。

期待値を高く置くほど、前提が崩れたときの落差は大きくなる。

私は若い頃、株式投資で損失を出して一度退場している。 その後、コロナショックのときはJ-REITに集中していて、大きな含み損を抱えた。 集中をやめて全世界株式のインデックスへ移したのは、その反省からだった。

経済的自由は、上がり続けることを前提にしない

いま積み立てているのは全世界株式のインデックス。 資産は株式と安全資産の二層にしてある。

上がっている時期にできるのは、期待を膨らませることではない。 下がった時期に何もしなくて済む形を、先に整えておくことだ。

経済的自由という言葉を、上がり続けた残高の延長線上に置くと、相場が向きを変えた日に足場ごと揺れる。 選択肢を持つというのは、増えた数字の多さではなく、減った日にも暮らしが続く形のことかもしれない。

まとめ

今日ひとつだけ。 課税口座の含み益から、税金分を引いた額を出してみてほしい。

そこに残った数字が、いま自分が本当に手にしている金額だ。 増えた実感より、その金額のほうを基準に置くと、相場の向きに気持ちを預けずに済む。

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