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誰かに勧められて始めた投資が、自分の意思に変わるまでの時間

経済的自由

はじめに

「とりあえず、これを買っておけばいいよ」 きっかけは、たぶんそんな一言だった。

自分で調べたわけではない。 すすめられたから口座を開いて、すすめられたものを買った。 始められたこと自体は、悪くなかったと思う。 ただ——その投資は、まだ自分のものではなかった。

投資をしている人は多い。 だが、なぜその商品なのかを自分の言葉で言える人は、そう多くないかもしれない。

借りた理由は、下がった日に消える

私は若い頃、株式投資で損失を出して一度退場している。 そのあと市場に戻り、コロナショックのときはJ-REITに集中していて、大きな含み損を抱えた。

画面が赤く染まった日、私が探していたのは「売るべきか」ではなかった。 誰か大丈夫だと言ってくれないか、だった。 判断を、外に預けていたのだ。

借りた理由は、下がった日にいちばん先に消える。 残るのは、自分で言葉にできた理由だけなのかもしれない。

意思は、決意ではなく決めごとでできている

自分の意思で投資していると言えるようになったのは、強い信念を持てたからではない。 迷ったときの動き方を、先に決めたからだった。

  • 点検は年1回、12月
  • 目標比率から±5%以上ずれていたら売買して戻す
  • ±7%以上なら年の途中でも動く(これはまだ一度も発動していない)

下げてリスク資産の比率が減ったときは、安全資産を取り崩して買い増さない。 安全資産は生活防衛資金と同じ器だからだ。 暮らしの備えを削って株を買うことは、私はしない。

ルールがあると、暴落の日にやることが減る。 何もしないこともまた、決めた行動になるからだ。 決めごとは、その場の気分に決めさせないための装置だった。

名前で言えるものだけが、自分のものになる

いま積み立てているのは全世界株式のインデックスで、eMAXIS Slim全世界株式とSBI・全世界株式インデックスの2本。 生活防衛資金は1年分を、最近になって個人向け国債(変動10年)へ移した。 額面が減らなくても、同じ金額で買えるものは物価とともに減っていくからだ。 ただしこれは金利に連動する商品で、物価に勝てるとは限らない。

何を持ち、なぜそこに置いているのか。 説明できるものが増えるほど、外から届く声は小さくなっていった。

経済的自由は、選択肢のかたちでやってくる

経済的自由とは増えた金額のことだと、長いあいだ思っていた。 けれど実際に手元に残るのは、選択肢を持てる状態のほうだ。 そして選択肢は、自分で決めた人にしか使えない。

すすめられたまま持っている資産は、すすめた人の言葉が変わった日にいっしょに揺れる。 自分の意思に変わるまでの時間とは、その揺れを自分で引き受けると決めるまでの時間ではないだろうか。

まとめ

借り物が自分のものに変わるのに、特別な出来事は要らなかった。 必要だったのは、理由を自分の言葉で書けるかどうかだけだった。

今日ひとつだけ——いま持っている商品を、なぜ持っているのか一行で書いてみてほしい。 書けなければ、それはまだ誰かの投資かもしれない。

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