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収入が下がることが先に決まっている数年を、どう過ごすか

経済的自由

はじめに

来年から収入が下がる。 それが、もう決まっている——そういう数年の入口に立つ人がいる。 親の介護で働く時間を減らす。独立の準備に入る。理由はさまざまだ。

不思議なのは、決まっているのに不安が減らないことではないだろうか。 分かっているはずなのに、カレンダーを見るたび気が重くなる。

決まっている下落は、暴落とは違う

私が経験してきた下落は、いつも突然だった。 若い頃の株式投資で損を出して一度退場した。コロナショックのときは大きな含み損を抱えた。 どちらも、来ると分かっていたわけではない。

収入の減少は、そこが違う。 何月からいくら減るのかが、先に見えている。 決まっている下落には、手を打つ時間がついてくる。 怖さの正体は減ること自体ではなく、その時間の使い道を決めていないことなのかもしれない。

まず、空白をつくらない

順番の最初は、投資ではなく制度だと思う。 国民年金の保険料が重くなったとき、未納のまま放置するのと、申請して免除を受けるのはまったく別物だ。

  • 全額免除が承認されれば、その期間も全額納付した場合の2分の1(税金分)が年金額に反映される
  • 手続きをせず未納にすると、その2分の1も受け取れない
  • 納付猶予は受給資格期間には数えられるが、年金額には反映されない

失業や事業の廃止などの事実が確認できたときは、前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられる特例もある。 申請できるのは、納付期限から2年を経過していない期間まで。 放っておけば、選べたはずの道が静かに閉じていく。

戻せる道と、戻せない道を分ける

下がった数年のあとに、余力が戻ることもある。 そのとき効くのは、あとから戻せる形にしてあったかどうかだ。

免除や猶予を受けた期間の保険料は、あとから追納できる。 ただし追納できるのは、承認された月の前10年以内の期間に限られる。 承認を受けた期間の翌年度から3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に加算額が上乗せされる。 1年分を追納すると、全額免除の期間なら老後の年金は年間で約1万円、納付猶予や学生納付特例の期間なら年間で約2万円増える。追納した保険料は社会保険料控除の対象になる。

NISAも似た性格を持っている。 売却した分の非課税枠は、簿価で翌年以降に戻ってくる。 取り崩しても、枠そのものが消えるわけではないのだ。 ただし買い直しには、その年の年間投資枠を使う。

現金の置き場所も、先に決める

私の生活防衛資金は1年分で、いまは全額を個人向け国債(変動10年)に置いている。 以前は普通預金だった。移したのは、額面が減らなくても同じ金額で買えるものは減っていく——その目減りが気になったからだ。

ただ、変動10年は金利連動であってインフレ連動ではない。 最低金利は保証されるが、物価に勝てるとは限らない。 そして発行から1年は中途換金できない。 備えなのにすぐには動かせない。その弱点は、私が抱えているものだ。

収入が下がる時期が先に決まっているなら、その数年に使う分をどの器に置くのか、下がる前に決めておきたい。

選択肢を使う数年に変える

経済的自由とは、働かないことではないのだと思う。 下がると決まった数年を、削られる期間と見るか、選択肢を使う期間と見るか。 制度の申請をひとつ済ませるたび、閉じかけた扉が一枚ずつ開いていく。

まとめ

今日ひとつだけ、いつから、いくら下がるのかをカレンダーに書き出してみてほしい。 書き出した月の手前に、申請と手続きの締め切りが並ぶ。 そこが、次の数年の設計図になる。

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