はじめに
投資は「始めること」ばかりが注目されがちですが、本当に難しいのは「どう終えるか」です。長期投資をしている人にとって、売却のタイミングや取り崩し方は人生設計そのものに直結します。FIREを目指す人にとっても、出口戦略を持たないままでは安心した暮らしを手に入れることはできません。この記事では、長期投資の終わり方を「売るのか、売らないのか」という視点から考えていきます。
売却するという選択肢
長期投資の出口として最も分かりやすいのは「売却」です。
なぜなら、投資で得た資産を現金化することで、生活費や新しい挑戦の資金に充てられるからです。特にFIRE後は、定期的に資産を取り崩しながら暮らす人が多くいます。
たとえば「4％ルール」が有名です。年間生活費を資産の4％以内に抑えることで、長期間資産を維持できるとされます。実際に、米国のリタイア世帯の多くがこの考え方を応用しています。つまり売却は「資産を生活に変える」ための自然な行為といえるのです。
結論として、売却は資産を使い切るのではなく「持続的に生きるための手段」として位置づけることが大切です。
売らずに持ち続けるという発想
一方で「売らない」という選択肢も存在します。配当や分配金を生活費に充てたり、相続資産として残したりする考え方です。
理由はシンプルで、資産を市場に置き続けることで、長期的な成長を享受できるからです。特に全世界株式やインデックス投資は、経済成長をそのまま取り込む仕組みを持っています。売却せずに配当を受け取り続ければ、資産は守られつつも次世代へと引き継ぐことができます。
実際、富裕層の多くは「売らない」を基本とし、資産を複利で増やしながら世代を超えて継承しています。つまり「売らない」は単なる放置ではなく「未来を託す戦略」とも言えるのです。
売るか売らないかを決める視点
では、私たちはどう選べばよいのでしょうか。
ポイントは「目的と状況に応じた柔軟さ」です。生活費を賄う必要があれば一部を売却し、資産の成長を重視するなら残す。どちらか一方に固定するのではなく、両者を組み合わせる発想が現実的です。
たとえば、基本生活費は売却で確保し、余剰資産は売らずに成長に任せる。あるいは60代までは取り崩し、70代以降は相続を意識する。こうした組み合わせこそ、長期投資を最後まで活かす具体的な方法といえるでしょう。
まとめ
長期投資の“終わり方”には正解はありません。売るか売らないかは、その人の人生設計や価値観によって変わります。ただ共通して言えるのは「目的に合わせて資産を使う」という視点を持つことです。
始め方を学ぶのと同じくらい、終わり方を考えることは大切です。今のうちから「自分にとっての投資の終着点」をイメージしてみましょう。その一歩が、経済的自由をより確かなものにしてくれます。
