はじめに
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、積立中の税制優遇ばかりが注目されがちです。しかし本当に大切なのは「60歳以降の自分がどう受け取るか」という出口戦略です。受け取り方ひとつで、税金の負担も心理的な安心感も大きく変わります。本記事では、FIREを目指す人にも役立つ、iDeCoの受け取り方を整理します。
退職金と重なる「一時金受け取り」
最も分かりやすいのが、一括で受け取る方法です。メリットは、退職金と同じく「退職所得控除」が使える点です。長く働いた人ほど控除額が大きくなり、税負担を抑えやすい仕組みです。例えば40年勤務した場合、控除額は2200万円を超えます。退職金と受け取り時期をずらせば、ほとんど税金を払わずに受け取れる可能性もあります。ただし、一括で大きなお金を得ると気持ちが緩みやすく、使いすぎてしまうリスクもあるため注意が必要です。
公的年金と合わせる「年金方式」
毎年少しずつ受け取る方法もあります。こちらのメリットは「公的年金等控除」が使える点です。特にFIREを達成して65歳以降も生活費を計画的に賄いたい人に向いています。例えば年間120万円程度を受け取る場合、税金や社会保険料の負担を最小化しやすく、安定的な収入源になります。生活リズムの中に「定期的に入る安心感」を持ちたい人に向いた方法です。
一時金と年金の「併用方式」
実は、iDeCoは一時金と年金を組み合わせることも可能です。退職直後にまとまった資金を確保し、残りは年金として受け取る、といった柔軟な設計ができます。例えば退職後すぐに住宅ローンの完済に充て、以降は年金形式で生活費にあてる、といった使い方です。この方法なら、税制メリットと安心感の両立が可能です。
まとめ
iDeCoは「積立」よりも「出口戦略」が重要です。退職金と時期を調整して一時金にするのか、公的年金と組み合わせて年金形式にするのか。それとも併用するのか。正解は人それぞれですが、共通して言えるのは「60歳以降の自分の生活をイメージすること」が欠かせないということです。未来を守るのは、積立額ではなく受け取り方の選び方です。今日から一度、老後の自分に問いかけてみてください。「どんな安心を贈りたいか?」と。

